愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「これって大阪だったんだ。」

「そっ。出身が大阪で、地元でやりたいっていう本人の強い希望らしい。それで、うちもそこに便乗して、明日の試飲会は個展とのタイアップツアーを組んだんだってさ。」

 私は個展のチラシに目を通しながら、へーと感心するように頷いた。


 すると成宮さんにツンっとおでこを小突かれて、顔を上げると、眉間にシワを寄せてこちらを見ていた。

「えっとー.......」

「勉強しとけっ。」

 私は思わずハハッと笑い、苦笑いを浮かべた。

 しかし、成宮さんにジロリと見られ、笑って誤魔化しながらそのまま体の向きを変えた。

「厳しい....。」

 ボソッと呟き、顔を引きつらせながら笑顔を作った。一緒に仕事をするようになってから、だんだんと仕事モードの成宮さんのことが分かってきた気がする。

 そして、仕事人間なだけあって、やはりスパルタなところは否めなかった。

< 107 / 219 >

この作品をシェア

pagetop