愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「これって大阪だったんだ。」
「そっ。出身が大阪で、地元でやりたいっていう本人の強い希望らしい。それで、うちもそこに便乗して、明日の試飲会は個展とのタイアップツアーを組んだんだってさ。」
私は個展のチラシに目を通しながら、へーと感心するように頷いた。
すると成宮さんにツンっとおでこを小突かれて、顔を上げると、眉間にシワを寄せてこちらを見ていた。
「えっとー.......」
「勉強しとけっ。」
私は思わずハハッと笑い、苦笑いを浮かべた。
しかし、成宮さんにジロリと見られ、笑って誤魔化しながらそのまま体の向きを変えた。
「厳しい....。」
ボソッと呟き、顔を引きつらせながら笑顔を作った。一緒に仕事をするようになってから、だんだんと仕事モードの成宮さんのことが分かってきた気がする。
そして、仕事人間なだけあって、やはりスパルタなところは否めなかった。