愛を孕む~御曹司の迸る激情~
『急遽、同期会になっちゃった』
私は祐一にそれだけ送ると、すぐに既読がついた。そして送られてきたのは、いってらっしゃいと言う騒がしい猫のスタンプ。私はクスクスと笑いながら、『いってきます』と打ち返し、携帯を鞄にしまった。
それからエレベーターを降り、須崎くんと話しながら歩いていると、退館ゲートの前に立つ二人が見えた。
「あー!きたきた、遅いよ〜!!」
待ちくたびれたようにそう叫び、携帯を持った手をブンブンと振る。そんな彼女は、高い位置でまとまったお団子頭を一緒に揺らし、満面の笑みだった。
「ひな子、南、久しぶり〜。」
私は待っていた二人に手を振りながら、ゲートを通って近づいていった。
「良かったー!定時であがれたんだね!」
そう言って嬉しそうに笑うのは、明るめの茶髪にお団子頭――牧田 ひな子。入社当時、私と同じ広報課だった彼女は、去年異動し、今は人事課で働いている。
そんな私たちが話している様子を黙って見ながら、静かに微笑んでいるもう一人。
立っているだけで存在感があり、伏し目がちな色っぽい黒髪ロングの美女――藤野 南。須崎くんと同じ営業1課にいて、高嶺の花と言われている。
私も最初に彼女に会った時は、同じ年とは思えない色っぽさで、圧倒されたのを覚えている。