愛を孕む～御曹司の迸る激情～

　すると誤解だと分かった途端、笑い出す成宮さん。

「まじか！じゃあ、わざと引き離す必要なかったなー。」

　楽しそうにお酒を飲みながら、ぶつぶつとそう言った。

　わざと？引き離す？

　私はその言葉に引っかかり、頭の中はハテナでいっぱいになった。


「いや、ごめんごめん。さっきも夕飯食べる約束してたし。新幹線の中も、あいつが俺の横に座ってたから、詩音に近づけたくないのかなーと思って。」

「なんですか、それ。」

「てっきり勘違いしてたわ。」

　須崎くんは、私が気まずいのを分かっていて、色々と気を回してくれていたから、そう見えたのかもしれない。

　だけどまさか、彼を結婚相手だと思うなんて。そんなあり得ない話に、私こそ笑ってしまいそうになった。

「多分、私たち二人のことを知ってるから、色々と気を使ってくれたんですよ。」

　そう言いながらクスクスと笑い、運ばれてきた食事に手をつけた。


「じゃあ、相手は？俺知ってる人？」

「あー、んー、どうですかね。知ってるかもしれないですけど、取引先の人なんで。」

　私は彼と話していくうちにお酒も進み、だんだんと普通に話してしまっていた。それに、祐一のことも話さなければと思っていたところだったから、ちょうどいいタイミングだと思った。