愛を孕む~御曹司の迸る激情~

 成宮さんの顔が離れていき、彼の伏せていた瞳がばっちりと私を捉えた。そこからは、もう記憶が曖昧だった。


 お酒のせいか、突然の事態への動揺か。それとも、激しいキスのせいか。


 扉がガチャンと閉まる音と共に、記憶が遠くなるほどの激しいキスが降ってきた。

「待って...、成宮さッ.......」

 彼の勢いに押されて、一歩ずつ後退る私。何度も重なり合う唇に、だんだんと漏れ出す吐息。背中に回った彼の手が際どい位置に移動し、服の中に侵入してきた。

 抵抗しながらも、強い力には勝てず....

 遠くなる意識の中、私は微かに残っていた正気を保ち、思わず彼を突き飛ばした。


「やめッ.....、蒼!!」


 私はヘナヘナと力つき、その場に座り込んだ。

「はぁ、はぁ、はぁ、ダメ....」

 突然のことに息を切らしながら放心状態で、乱れた髪を直す余裕もなかった。

 真っ暗な部屋の中に、カーテンの隙間から月明かりが差し込み、彼の姿が見えた。ばつが悪そうに顔を赤らめ、くしゃくしゃと頭をかく。私が初めて見る姿だった。


 すると、彼がゆっくりとこちらに近づいてきて、思わずビクッと目を瞑り身構えた。

「ごめん。本当ごめん。」

 しかし聞こえてきたのは、か細い声だった。









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