愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それから成宮さんは突然携帯を取り出し、どこかへ電話をし始めた。私は何が起こっているのか分からず、須崎くんと顔を見合わせながら首を傾げる。
「ありがとうございます!宜しくお願いします。」
そう言って名刺を広げながら、次々に電話をかけ続けた。
周りにいた他の社員はそんな様子にザワザワとし始め、ちょうどコンビニから戻ってきた女性も、状況を飲み込めずにあたふたとしていた。
ようやく電話を終え、携帯を置いたタイミングを見計らう須崎くんは、ゆっくりと成宮さんに近づいていった。
「そろそろ教えてくださいよ。何か思いついたんですよね、何すればいいんですか?」
そして、置かれていたいくつもの名刺を見渡しながら、慣れた素振りを見せた。
すると、ニヤリと笑う成宮さんは、須崎くんの肩にぽんっと手を置き、自信満々に言った。
「ああ、個展会場に行くぞ。準備しろ。」