愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「って、ごめん。俺のせいなのにな。」
笑っていたのも束の間、突然真面目なトーンになり、そう謝ってきた成宮さん。
「昨日は本当に悪かった。酔った勢いであんなことして、仕事までやりづらくさせて。上司としても男としても、失格だった。」
反省したように言う言葉に、何と返したらいいか分からず、口をつぐんだ。
正直、昨日の夜のことは本当にショックだった。
私にとっての成宮さんは、格好良くて紳士的で大人で、友達からも羨ましがられる自慢の彼氏。私の前から姿を消した後も、ずっとあの頃のまま、それ以上に美化されて記憶の中に残っていた。
だから、豹変したように変わってしまった姿を受け入れられず、頭が整理できずにいた。
「詩音....。」
すると、突然名前を呼ばれ、思わずビクッと体が反応した。その瞬間、自分の無責任な行動がこんな事態を招いたのだと、そう感じた。
婚約者がいる身で、元彼と二人の時間を作ってしまった。いくら上司だとはいえ、隙を見せた私にも非はあった。
「しお.....」
「もう、忘れます。」
私は彼の呼びかけを遮り、自分に言い聞かせるようにそう呟いた。俯いたまま、彼の顔は見なかったけれど、どんな顔をしているかは想像がついた。