愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「あー、そうだ。須崎、探してきてくれる?帰りの切符もあいつ持ってると思うから。」
「え、あ、はい....。」
気づくと、あっという間に彼のペースで、私はどぎまぎしながら頷いた。
「じゃあ、また後で。」
そして、そう言いながら去っていく成宮さん。
嵐のようなひと時で、その後ろ姿をボーッと見つめながら呆気にとられていると、自然と心が軽くなっていることに気づいた。もう、終わったんだ。
彼がいなくなってからの3年、心のどこかでずっと引っかかっていた想い。祐一と婚約しながらも、どこかで感じていたモヤモヤした感情。
それも、今日で終わり。
曖昧だった成宮さんとの関係を、はっきり終わらせることができて、やっと過去の自分から卒業することができた。
私はスッキリとしたこの感情に一人微笑み、彼に背を向け歩き出した。