愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「え、その反応。本当なんですか??」
すると、私の様子を見た紗和ちゃんが目を丸くしてそう言う。
「違うっ、そんなはずないじゃん。」
私は慌てて彼女の腕を掴み、否定した。
しかし、その瞬間にあの夜のことが頭をよぎり、パッと手を離した。火の無い所に煙は立たない。その言葉の通りだった。
次第にだんだんと嫌な汗までかいてきて、心臓もバクバクと鼓動が激しくなってくる。
どうしよう――
悪い想定ばかりが頭を巡り、どんどん苦しくなってきた。
「やっぱり、何かあったんですね。」
青ざめる私を見て、何かを察したように顔を覗き込んでくる紗和ちゃん。彼女と目が合い、私は大きくため息をつきながら、手で顔を覆った。
「その噂.....、どこから?」
「分かりません。でも、部屋の前で二人がキスしてるのを見たって人がいて。その人が言いふらしてるみたいです。」
まさか、見られていたなんて。私はその場に座り込み、頭を抱えた。
夜遅かったし、あの時は誰にも会わなかった。それに扉が開いていたのだって、ほんの一瞬だったはずなのに......。
「蕪木さん、何があったんです?」
座り込む私の隣に寄り添い、心配そうに言う。そんな紗和ちゃんに、私はあの夜のことを全て話した。