愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「本当に甘えちゃって良いの?」
「いいんだって。最初からこっちで用意するって言ったでしょ?」
食事会を終え、両親をホテルのロビーへと送っていた私。
祐一と暮らしている部屋に招待するわけにもいかず、二人のために、レストランと併設しているホテルの一室を押さえた。
「でも、本当に良い人見つけたわね。」
チェックインを済ませ、ルームキーを渡すと、しみじみとそう言うお母さん。
「どうしたの、改まって。」
「だってそうじゃない。優しくって良い人そうだし、お金はあるしー。」
「また現金な。」
「何言ってるの。お金はあるにこしたことないでしょ?」
お母さんはそう言いながら、にっこりと笑った。私はそんな母に、少し恥ずかしくなりながらも、二人が嬉しそうなことを見て、内心喜んでいた。
「前の蒼くんの時はどうなるかと思ったけど...」
すると、突然そんな話をし始め、思わずビクッとした。
「ちょっとそんな昔の話.....」
「だって、心配だったんだもの。いつ電話しても元気ないし、別れたって聞いてびっくりしたわよ。あのまま、蒼くんと結婚するんだとばかり思ってたから。」
大学の頃はまだ父も働いていて、私も実家暮らしだった。だから、成宮さんのことは何度も家に招待していたし、二人も彼のことを気に入っていて、仲が良かった。
懐かしい――
そう思いながら、一瞬昔の記憶が蘇ってきた。