愛を孕む~御曹司の迸る激情~
いつものことながら、湊さんとそんな冗談まじりの会話を交わしていると、割って入ってきた須崎くん。
「はいはい、兄貴との会話はいいから。てか、用意できてんの?」
そして、湊さんを見て謎の会話を交わした。
「できてるよ、ごゆっくりー。」
笑顔は営業スマイルに変わり、カウンターの中から奥の席へ促すように手を向けた。
私は須崎くんに押されて、そのまま奥の個室に通されると、存分に飾られた装飾を目の当たりにして目を疑った。そしてテーブルには、『予約席』の文字。
私は目を泳がせながら、いつもと違う雰囲気に戸惑った。
「え.....、何これ。わざわざ予約までして。」
いつもは空いている席に適当に座り、予約なんてしたことなかったのに――
思わずそう声をもらすと、ニヤリと笑うひな子。
「はいはーい、主役はこっち来て!」
そして手を引かれ、状況が把握できないまま、真ん中の席に座らされた。
「主役って?なんのこと?....え、主役?」
戸惑いながらキョロキョロとしていると、自然と運ばれてきた赤ワイン。それを手渡されると、3人が笑顔でこちらを見た。困惑した顔でみんなを見渡すと、示し合わせたようにワインを前に付き出し、叫んだ。
「「詩音(蕪木)、婚約おめでと〜!!!!」」