愛を孕む~御曹司の迸る激情~

 そして、成宮さんに促され、恐る恐る使った検査薬。結果は、"陽性"だった。

 それでも信じきれずに産婦人科を受診したところ、とうとう担当医の先生から「おめでとうございます」と言われてしまった。


 正直、おめでたいのか分からない。妊娠6週目と告げられたものの、心から喜ぶことができなかった。

 少し前まではあんなに欲しかった祐一との子供も、今となっては複雑な気持ち。産まれてくる子供に罪はない。だから、おろすとかは考えたくないけど、これから一人で育てていくなんて、それこそ想像もつかなかった。


「ほいっ。」

 ボーッと一点を見つめていた私の前に、そっと置かれたオレンジジュース。顔を上げると、成宮さんがニコッと微笑みながら、私の隣に座った。

 あんなことを言っていても、結局はいつも私の体調を気遣ってくれる優しい人。その笑顔を見た瞬間、ホッコリと心が温かくなった。

「ありがとう.....。」

 私は笑顔を作りながら手を伸ばし、グラスを口元で傾けた。


「あいつには?言えた?」

 すると、隣でコーヒーを飲みながら不意に言う彼。私は、グラスを手に俯きながら、ゆっくりと首を振った。


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