愛を孕む~御曹司の迸る激情~
ポカンとしていた私は一気にこの状況を理解し、だんだんと顔が綻んでいった。
「そういうことっ。」
そう言って笑うと、LINEのグループで招集されなかった訳がやっと腑に落ちて、持っていたワインに口をつけた。
「もー。婚約のこと先月急に言うから、急いで準備するの大変だったんだよ!」
湊さんのオススメメニューがテーブルに並びだし、食事が始まると、ひな子が早々に口を開いた。
「ごめんごめん。もし言ってから解消になんてなったら最悪だから。もろもろ予定が固まってから言おうって思ってたの。」
「ふーん、いいけどさあ。2ヶ月後には入籍でしょ?できれば、高瀬詩音になる前の、蕪木詩音の時にお祝いしたいじゃん。」
「何、そのこだわりっ。」
私は、よく分からないこだわりを見せるひな子の様子に笑いながら、目の前のお肉を頬張った。そして、柔らかいお肉を噛み締めながら、華やかな装飾を目に焼き付けるように辺りを見渡した。
「嬉しい、こんなにしてくれると思ってなかったから。」
私は幸せを感じながらそう言うと、ずっと黙っていた南が静かに口を開いた。
「詩音。本当におめでとう。」
ニッコリ笑い、ジッと私を見つめてくる南に見惚れそうになりながら、私も笑顔で大きく頷いた。