愛を孕む~御曹司の迸る激情~
翌日、私はいつものように会社に出社した。成宮さんの家に住み始めて廃人のようになってからも、仕事にはちゃんと行っていた。
しかし、妊娠のことはまだ話せず、誰にも打ち明けられていない。
「蕪木!!」
すると、朝から怒ったような声が飛んできて、私はハッと顔を上げた。
「このフォーマット変わってないぞ。会議で変更したはずだろ。」
デスクでそう声を荒げる成宮さん。一瞬、何が起こったのかさっぱり分からなかった。私は急いで立ち上がり、書類を見に行くと、たしかに変更のあった箇所が何も直っていなかった。
「すみません。私のミスです。」
「はぁ.....。今、うちは大事な時期だから。ミスは困る。」
「はい。」
怒られたのは、いつぶりだろう。しばらく大きなミスなんてしてこなかった私は、内心すごく落ち込んでいた。
そして自分の席に戻ると、周りの先輩たちからすごく心配をされた。
「蕪木さんがミスするなんて、珍しいね。最近体調悪そうだし。大丈夫?」
でも、そんな優しい言葉にも何も言えない。
「大丈夫です。すみませんでした。」
ただ、それしか言えなかった。