愛を孕む~御曹司の迸る激情~
気がついた時、私は病院のベッドの中にいた。目を覚ますと真っ白な天井が目に入り、隣には看護師さんが点滴をいじりながら立っている。
「あら、気がついた?」
辺りを見回すと、そこは診察室のような場所だった。私は、ゆっくり重い体を起こした。
「軽い貧血と栄養失調ね。だめよ?つわりが辛いのはわかるけど、お腹の子供のためには無理してでも食べなくちゃ。」
そう言う看護師さんの声を聞きながら、ボーッとしている頭でなんとか状況を整理しようとしていた。
「あの、私....」
「これ、点滴が終わったら帰っていいから。それまで休んでなさい?」
「はい....。」
言われるがまま頷くと、看護師さんはさっさと出て行き、シーンとした空間に一人取り残された。
すると、入れ替わるように入ってきた人。
「しおーん!良かった無事で。心配したよー。」
半泣き状態で駆け込んできたひな子。その後ろからは南がゆっくりと歩いてきて、私の寝るベッドに腰掛けた。
「覚えてる?急に倒れたの。妊娠してるし心配だったから、救急車呼んじゃった。」
私はそんな二人の姿を見て、やっと思い出した。
「祐一は?」
思わず、第一声でそう口にしていた。