愛を孕む~御曹司の迸る激情~

 私は倒れた日から一週間、溜まっていた有給を消化し、休みをとることにした。


「いつもありがとう。食事まで作ってくれて。」

「全然?でも良かったよ。ちょっとずつ食べられるようになってきて。」

 キッチンで洗い物をする成宮さんのもとに、食器を運びながらそう言う。今日は、そんな穏やかな日曜日の朝だった。

 彼には本当に何から何までお世話になり、頭が上がらない。無条件で私を支えてくれて、どこまでも良い人。

 私はこの幸せな日常を噛みしめながら、キッチンに立つ彼をじっと見つめた。

「ん?どした?」

 すると視線に気づき、不思議そうに笑いながらこちらを見る成宮さん。私はにっこりと微笑み、首を振った。

「ううん。なんでもない。」


 そしてリビングへ移動し、椅子に座ってテレビをつけた。今日も、平和な日。そう思っていた。


 ーーピロロン、ピロロン

 その時、家のインターホンが鳴った。私は荷物の宅配か何かだろうと思いながら、なんとなくモニターに向かう彼の姿を目で追っていた。

「はい。......ああ、はい。じゃあ、そこで。」

 しかし、相手は宅配便.....ではなさそう。声のトーンも様子も、少しおかしかった。

< 179 / 219 >

この作品をシェア

pagetop