愛を孕む~御曹司の迸る激情~
『えーっと、詩音、婚約....結婚?おめでとう。
僕は今北海道にいて、直接お祝いはできないけど...、まあ、元々お酒とか好きじゃないから東京にいてもきっと行かないんだけど。
あー、でも、婚約は心からお祝いしてるから。
よかったね、お幸せに。
同期会にはこれからも行くつもりはないけど、詩音が何か愚痴でも聞いて欲しいことがあったら、得意ではないけど聞くよ。
お幸せに。じゃあ、僕は寝ます。またねー。』
動画が終わると、淡々とした雪哉らしいお祝いメッセージに、私は自然と顔が綻んでいた。
「北海道から雪哉でしたー。」
須崎くんは笑顔でそう言うと、私は思わず拍手した。
「ありがと!これ嬉しい、送って!」
「詩音って本当雪哉好きだよな。」
須崎くんはボソボソとそう言いながらも、動画を送ってくれて、LINEの通知がピコンと鳴った。
「雪哉ってなんか独特なんだよね。ツボ。」
私はそう言いながら、LINEを開いて動画を保存した。
すると、もう一件通知が来ていることに気付いて、開くと祐一からのメッセージだった。
『明日休みだから、俺も友達と飲みにいってくるよ。泊まりになるかもしれないから、先寝ててー』
もう1時間前の通知だった。今日は金曜日で、いわゆる"華金"。彼も結婚前に残された自由な時間だし、友達と朝まで飲みたい気持ちもわかる。
私は少し寂しくなりながらも、了解のスタンプを送り携帯を置いた。