愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「裏切るような真似して傷つけて、許してもらえるなんて思ってない。けど、それでも俺にとって一番大切なのは、詩音だった。」

「やめて....」

「自分勝手だって思われるかもしれないけど、それでも、もう一度チャンスが欲しい。」

 切実な思いを吐き出し、頭を下げ続ける彼。


 私はそんな彼の姿を見つめながら、諦めたように息を吐いた。

「信じてたんだよ....。」

 それから、やっとの思いで出た言葉。落胆したように一点を見つめながら、口を開いた。


「今まで怪しいと思ったことがなかったわけじゃない。何回も疑って、その度に悩んで.....、でも言わなかった。信じたかったから。」


 話しているうちに勝手に浮かんできた涙。そのまま頬を伝うのを拭う気力もなく、私は呆然と彼を見つめながら話し続けた。


「祐一に限ってそんなことあるはずないって、そう思いたかった。だから、あなたの言うことを信じようって、馬鹿正直に全部受け止めてたの。」

「うん.....。」

「本気で好きだったのに。」

 私はトドメの文句のようにそう言葉を漏らすと、疲れ果てたようにため息をついた。


 顔を上げ、私を見つめる彼。その表情は、何とも言えない複雑そうなもので、その顔を見ていたらやっと冷静さを取り戻した。手で涙を拭いながらティッシュを手に取り、鼻をすする。

 きっと今、とてもひどい顔をしている。

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