愛を孕む~御曹司の迸る激情~
_打ち明けた過去 * 祐一side
百合と出会ったのは、高校生の時。
校内では有名な美人で、アイドル的存在に近かった彼女とは、サッカー部の部員とマネージャーという関係だった。
そんな俺たちは、自然と仲良くなっていくうちにお互い惹かれあい、付き合うようになった。
何度か喧嘩や別れの危機はあったものの、大学を卒業するまでその関係は続き、結婚も考えるほど深い仲になっていった。
でも、社会人になってから生活はガラリと変わった。なかなか会う時間がとれず、すれ違いの毎日。親の会社に就職した俺は、大変なこともたくさんあったけど、環境には恵まれていた。
でも百合は少し違って、ずっと夢だった出版の仕事に就いたものの、就職した会社は酷いブラック企業。上司のパワハラは横行し、それを止める人もいない。
仕事を覚えるのに必死だった俺は、百合の変化に気づいてやることもできず、彼女は一人でどんどんと追い込まれていった。
そして、日に日に鬱状態になっていき、気づいた時にはもう遅かった。
仕事を辞めた彼女は、人が変わってしまった。
元々、大人しい性格ではあったけど、どちらかというとポジティブで、俺はいつも元気付けられている側だった。それが、何事も悲観的に捉えるようになり、些細なことにも気落ちして、情緒は不安定。
怒ったかと思ったら急に泣き出したり、ついさっきまで笑っていても突然声を荒げたり、同じ人物とは思えない変貌ぶりをとげた。