愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それでも、家に引きこもる彼女をなんとか支えようと努力はした。しかし、関係は悪化する一方。
喧嘩も多くなり、八つ当たりすることも増えていき、耐えられなくなっていった俺は、とうとう彼女から逃げた。
それが、23歳の夏の出来事。
最後はあまりいい別れ方とは言えなかったけど、七年付き合った彼女というだけあって、百合のことをすぐに忘れるなんてできなかった。
それからは、仕事に没頭することで気を紛らわせた。
そうして過ごすこと、2年。
会社の将来を心配する両親からは、いろんな女性を紹介され、先輩たちには何度も合コンに連れていかれた。でも、なかなかこの人という女性には出会えず、恋愛とは距離を置いていた。
そんなある日、突然百合が俺の前に現れた。小さな子供の手を引いて。その光景は、今でもよく覚えている。
そして、驚きを隠せず、固まって立ち尽くす俺に百合は言った。"俺の子供を産んだ"と。
1歳くらいの子供の手を引き、こちらを指さして「パパだよ」と呟く彼女を見て、最初は本気でそうなのだと信じていた。
でも、よくよく考えてみると付き合っていた時期と子供が産まれた年は合わなくて、すぐに違うと気づいた。
結局、本当の父親は別にいることを認め、相手の人に捨てられたから一緒に育ててほしいと、泣きついてきた。そんな彼女を、無下にできない自分もいた。