愛を孕む~御曹司の迸る激情~
_私の選ぶ道
「詩音。」
「ん?」
「どう?眠れた?」
祐一と話をした日から、一夜が明けた。うっすらと扉を開け、様子を伺うように部屋を覗きこんでくる成宮さん。
ベッドに座り込んでいた私は、心配をかけまいとにっこり笑い、笑顔で頷いた。
それから、扉が閉まりまた一人なると、祐一から聞いた話を思い出しながらボーッと一点を見つめる。
彼の話は、全てが衝撃的だった。お互い過去の恋愛については、あまり詮索してこなかったから、二年も一緒にいたはずなのに何もかもまるで知らない話。
実際、祐一の過去に興味がなかったわけじゃない。
だけど、私が成宮さんとの過去を話したくなくて、その話題になるのを自然と避けていた。だからむしろ、話題にならないことにホッとしている自分もいた。
でも、今思えば、祐一も同じように詮索してこなかったのは、百合さんとの関係があったからだろう。
私は、彼から全てを打ち明けられても、何も言えなかった。言葉が見つからなかった。
祐一からは"やり直したい"という思いはすごく伝わってきたけど、そんな衝撃的な話を聞かされた後で、すぐに答えなんて出るわけもなく....
許せないことだとはいえ、話を聞けば聞くほど、避けられなかったのではないかと思ってしまう自分もいた。