愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「みんなでさ、初日の出見に行ったことあったよね。」
海を見ていたら、懐かしい記憶が突然蘇ってきた。
「あー、あったなー。1年目の時だっけ。」
「そっか、あれからもう3年も経つんだ。」
社会人になってから、光の速さで過ぎていった時間。これから頑張ろうと言っていた初々しい姿が、今でも忘れられない。
「あの頃は、3年後に妊娠してるなんて思っても見なかったなー。まだまだ先のことだと思ってた。」
そう言いながら、ふふっと笑うと、なぜか沈黙が流れた。
その瞬間、今だと思った。
「須崎くん.....」
昨日のお昼、突然個人的にきたメッセージ。
『明日、どっか出かけない?』
そんなことを言ってきたのは初めてのことで、正直ビックリした。でも、いい機会だと思った。彼に、ちゃんと伝えなきゃいけないと思っていたことがあったから。
「私ね。」
「あーーーーー。」
すると、急に声を出した彼。
「やっぱそういう感じ?...だよなー。」
自分で言って、自分で答えながらしゃがみ込む。私は思わず、首を傾げた。
「なんとなく、何て言われるかは分かってるけど、.....うん、いいよ。」
そして、どこか気合いを入れた様子で立ち上がると、真っ直ぐにこちらを見た。
そう言われると言いづらい....と、内心思いながらも、さすがに言えず。苦笑いを浮かべながら、私も少しだけ気合いを入れると、深く深呼吸をした。