愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「この前言ってくれたこと、正直すごい嬉しかった。」

「うん。」

「結構、ビックリしたけど。でも、嬉しかった。」

 私は、どう伝えればいいかと言葉を選びながら、探り探り話していく。どう話せば、傷つけずに伝えられるかと。

「成宮さんと別れた時、誰よりも支えてくれて。ずっとそばにいてくれて。須崎くんがいなかったら、あの頃の私はきっと立ち直れてなかったと思う。」

 そう言いながら、ごくりと生唾を飲んだ。


 あれから祐一と会ったり、成宮さんと過ごしながら、私なりに真剣に須崎くんとのことを考えていた。でも、どれだけ考えても須崎くんとの未来は想像がつかなかった。

 時間をかけていけば、素敵な人だし、モテる人だし、好きになる可能性もあるのかもしれない。

 だけど、妊娠して、母親になろうとしている私にとって、そんな余裕はなかった。それに今は、祐一や成宮さんのこと以上に、誰かのことを考える気にはなれなくて....

 図々しいと自分でも思いながらも、それが今の私の答え。


「でも、ごめんなさい。須崎くんのことは好きだけど、それ以上には思えない。最高の友達で、大事な人だけど、それ以上には見られなかった。」

 最後は、ハッキリとそう言うしかなかった。


 伝えた瞬間、彼の表情が一瞬歪んだことに気づいた。彼を傷つけたくはなかったのに、どんなに言葉を選んでも、傷つけてしまう。

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