愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「じゃあ、ここにいればいい。高瀬とやり直すつもりがないなら、俺といろよ。」
そう言いながら、私の手をギュッと握った。でも、私の意思は変わらない。
「ここにいる時間は、楽しかった。昔みたいで、付き合ってた頃に戻ったみたいで、懐かしかった。」
「じゃあっ.....」
「でもそれは、恋愛とか....結婚とか....そういうのじゃない気がする。」
成宮さんといると、何度も錯覚しそうになる。ホッとするあの空間や優しさが心地よくて、いつまでもここにいたいと思ってしまう。
でも、祐一と会ってはっきり分かった。この成宮さんに対する感情は、恋ではないと...
祐一から全てを聞いた時、一瞬許してしまいそうになった。彼の気持ちが、心が、私から離れていたわけではないと分かってしまったから。
人に言えば、ただ目の前の言葉だけを鵜呑みにして、自分の都合の良いように解釈しているだけだと言われるかもしれない。
でも、それでもいい。私の知っている高瀬 祐一を信じたかった。
あの日、あの場で、私は彼を抱きしめそうになった。辛そうに話す彼を、思わず抱きしめそうになった。それを、私はグッと堪えて踏みとどまった。
心の中では信じたいと思いながらも、それではダメだと言っている自分もいたから。
そんな葛藤をしている内に、気づいてしまった。彼を、祐一を愛していると。