愛を孕む~御曹司の迸る激情~

「私ね、強くなりたい。この子のためにも。もしかしたら、祐一のこともいつか許せるようになるかもしれない。でも、それは成宮さんに甘えながらじゃ、格好つかないの。」

「本気なのか。」

「うん。.....成宮さんは優しいから。一緒にいると、どうしても甘えちゃうし。」

 私の決意は固かった。祐一ともやり直す気はないけど、成宮さんにも須崎くんにも甘えない。もう決めた。


「東北の実家にね、帰ろうと思うんだ。成宮さんも言ってくれたでしょ?お母さんたちの力は借りるべきだって。」

「ああ....」

「昨日話したら、子供のこと喜んでくれた。祐一とは別れちゃったって言ったら、ショック受けてたけど、何も聞かずに早く帰ってきなさいって言ってくれた。」


 あんなに喜んでいた両親を裏切るようで、子供を一人で育てるなんて言えないと思っていた。

 でも、打ち明けたら、心はすごく軽くなった。両親も、思いの外冷静で、必死にそんな空気を作ってくれたのかもしれないけど、それでも受け入れてくれた。それが、本当に嬉しかったし、心強かった。


「詩音。」

「ん?」

「幸せになれ。」

 成宮さんは、驚くほど清々しい顔をしていた。

 そして、その言葉には思わずグッときて、涙ぐんだ。彼に言われると、なんだかすごく心に染みる。私は涙を堪えながら笑顔で頷くと、最後に彼と抱擁を交わした。


 そうしてこの日。荷造りを終えると、私は彼の家を後にした。











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