愛を孕む~御曹司の迸る激情~

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 詩音へ


 今頃は、新幹線の中かな。

 突然の手紙でごめん。

 でも、きっと俺からは受け取ってもらえないと思ったから。

 ひな子ちゃんたちに託すことにしました。勝手をして申し訳ない。


 子供のこと、蒼くんから聞きました。彼を責めないであげてください。

 彼はきっと、子供のことを思って伝えてくれたんだと思うから。

 聞いた時、心の底から喜んだ。俺の人生の中でこれ以上ないくらい、嬉しいことだった。


 産むことを決めてくれてありがとう。育てると決めてくれてありがとう。

 今後、子供の父親だと名乗ることも、勝手に会いにいくこともしない。詩音が許してくれるまで、絶対に。そんな資格がないことは分かってるから。

 でも、育てる手助けだけはさせてほしい。


 一緒に入れた袋の中に、通帳と印鑑が入ってる。婚約破棄になった慰謝料と子供にかかる養育費。受け取ってほしい。

 慰謝料は要らないって言われてたけど、それだと俺の気がすまないから。

 本当に悪いことした、傷つけたって思ってる。

 少しでも、詩音と子供の未来の手助けになるように使って欲しい。二人の幸せを心から願っています。


 高瀬 祐一

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