愛を孕む~御曹司の迸る激情~
エピローグ
四年後。
ーーゴーンゴーン
真っ白なチャペルで、鐘の音が鳴り響く。
「まだかなー。もうそろそろ始まってもいい頃なのにー。」
「静かに待ってなよ。琴音は、こんなに大人しくしてるんだよ。」
チャペルの一番後ろには、そわそわと辺りを見渡すひな子と静かに携帯を見ている雪哉の姿があった。そんな二人の隣には、琴音と呼ばれた小さな女の子がちょこんと座っている。
すると、少女はツンツンとひな子の服を引っ張り、純粋無垢な瞳を向けた。
「こっちゃんね、ママに大人しくねーて言われたの。だから、ひなちゃんもシーしててね?」
くるくると巻かれた髪の毛を二つに結き、ヒラヒラと広がる水色のワンピースを着た、お人形のような可愛らしい姿。
そんなおませな女の子に、ひな子はメロメロ。
「もー、本当にかわいいんだから〜。ママ遅いねー?どうしたんだろうね?」
「今、おめかししてるの。可愛くなるんだって!」
「そっかそっか〜。」
そう言いながら、ひな子は少女の頭を優しく撫でると、うんうんと頷きにっこりと笑う。
頭を撫でられながらきょとんと二人を見上げる琴音は、意味もなく首を傾げ、足をぶらぶらさせていた。
「ひゃー、遅くなっちゃった。」
主役の登場を今か今かと待ち望むチャペル。そこに私が合流したのは、そんな出来事があった後だった。