愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「須崎もさ、もっとこー、大人の色気みたいの?だしたら?」
「いや、余計なお世話だわ。」
私はひな子の突然のダメ出しに、思わず吹き出すように笑ってしまった。
「蕪木笑いすぎ。」
「あ、ごめんっ。」
私は持っていたグラスで顔を隠しながら、こっそり南と目を合わせて笑った。しかし、ひな子のダメ出しはまだ続き、須崎くんの腕をがっちり掴んで離さなかった。
「須崎ってー、見た目からして軽い。もっと大人っぽく?やっぱ色気だした方がいい!」
「悪かったな、色気なくて。」
須崎くんはそう言いながら、猫っ毛の焦げ茶色の髪をクシャクシャとかいた。
ひな子の言う通り、彼は見た目が少し、軽い。でもとにかく優しくて、面倒見のいいところがあるから、性別問わず人にすごく好かれている。
「もー、だからいい人止まりで、好きなのに告白もできずに、....んんんっ」
「はいはい、これ食べてー。」
私は、何かを知ったようなひな子の言葉が一瞬引っかかった。でも、須崎くんが置いてあったポテトを無理やりひな子の口に押し込んだのを見て、もう笑わずにはいられなかった。