愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「え、それって黒じゃないですか!?」
「うーーん。やっぱそう思う?」
ランチを済ませ、紗和ちゃんとカフェでティータイムをしていた時。耐えきれず、あの日の話を相談していた。
そして今ちょうど、"香水の匂いがした"というところまで話し終えた。
「それ言いました!?香水の匂いがするよって。」
興奮気味の紗和ちゃんは、コーヒーカップをガシャンと置き、そう言った。
「ううん。だって、その飲み会に女の人がいたかもしれないし。」
私以上にイライラしている彼女の前で、コーヒーを静かに一口飲んだ。
すると、目を大きく見開く紗和ちゃん。
「本気で言ってます!?蕪木さん、聞き分け良すぎますよ。彼女持ちの男が、女のいる飲み会でお泊まりするのもアウトですし、婚約してるなら尚更です!しかも、シャツに匂いがつくってことは、それくらい近くにいたって証拠ですよ!?」
どこで息継ぎをしたのか分からないほど、とにかくすごい勢いでそう言った。
私は紗和ちゃんに言われて、初めてハッとした。そういう可能性もあるのかと、そう思った。
「いいですか?一度やる人は、二度やります。その様子だと、今までやられてても気付いてなかったと思いますけど。今度怪しいと思った時は、絶対絶対突き詰めるべきです!もはや私としては、本当に大勢の飲み会だったのかも疑わしいですが。」
「はい......。」
「結婚して、間違いだったじゃ遅いですからね!」