愛を孕む~御曹司の迸る激情~
仕事もできて、高身長で優しくて、カッコいい。それに加えて、うちの会社の得意先である高瀬グループの御曹司。落ち着かないこの広い家に住んでいる理由も、彼の裕福な家柄あってのこと。いたって普通の家庭に生まれた私からしたら、玉の輿にのったようなものだった。
非の打ち所のない、何から何まで完璧な彼。私からしたらどうして彼女も作らず、29歳の今の今まで過ごしてきたのか疑問だった。
実をいうと、付き合った当初は秘密や裏の顔があるのではと疑っていたけれど、最初はおろかこの2年良いところしか見つけていない。
「ご飯、作っていい?」
首の辺りで顔を埋める彼に、私は頭をコツンと寄せた。
「ねえ、会社遅れちゃうよ?」
それでも返答がなく、彼の頭をポンポンとさする。
すると、腰に回されていた腕に、ギュッと力がこもったのを感じた。私はそんな彼が愛おくて、さっきのモヤモヤなんか嘘のように自然と笑みが溢れていた。