愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「顔に不安って書いてある。」
「そんなこと.....」
「言いたくないなら無理にとは言わないけど、言いたいことがあるならちゃんと隠さず言って欲しい。俺ら、もうすぐ結婚するんだよ?」
真っ直ぐ見つめてくる祐一の目をジッと見つめ、私はコクリと頷いた。そして、私だけソファに促され座っていると、彼はキッチンからホットココアを持って戻ってきた。
「はい。詩音の好きな味かな。」
私はマグカップを持ち上げそっと口をつけると、喉にツーっと温かいココアが通っていくのが分かった。
「うん、美味しい。」
口の中に広がる甘い香りにホッとしながら、ゆっくりとカップを机に置いた。
そして、話し出すのを待ち続けてくれた祐一に、あの日思っていたことを全て話した。もしかしたら、これで全てが崩れてしまうような答えが返ってくるかもしれない。それでも、私は彼に賭けてみたかった。
言いたいことを話終えると、彼は私の手を握り口を開いた。
「ごめんね、不安にさせて。」
その言葉に、思わず顔を上げた。
「別に、わざと言わなかったわけじゃないんだけど。たしかに、友達の家に飲みに行って女の子もいた。でも、それは友達の彼女だったし、俺も気にしてなかったから言いそびれてた。」