愛を孕む~御曹司の迸る激情~
顔を見たいと言っても、きっと話があってきたんだ。私は何の話かと身構えていると、高瀬社長は突然フッと笑い出した。
「すまない。アポなしは何でも緊張するものだね。そんなに困らせるつもりはなかったんだ。.....ただ、祐一とのことで話しておきたくてね。」
「祐一....さん、とのこと。」
「真面目な話、分かっていたと思うが、祐一には会社を継がせようと思っている。一人息子だからね。」
私は、思わず生唾を飲んだ。
大きな会社の次期社長の妻には、私なんて相応しくないと、そう言いにきたのかもしれない。それとも、祐一にはどこかの社長令嬢とお見合いさせる予定があるとか?それか、私に徹底的な教育を受けさせるとか....
私はあらゆる可能性を頭に浮かべ、不安に駆られていた。
しかし、次に出てきた言葉は私の予想を反していた。
「今の仕事は、好きかい?」
「え?あ.....、はい。好きです。」
思わず、私は戸惑った。
「そうか。さっき広報課の課長に、君の評判を聞いたよ。優秀な人材だと褒めていた。私も鼻が高かったよ。」
「あ、ありがとうございます。」
そう言いながらも、半信半疑で......。いまいち、この話にどんな意図があるのか、全く想像もつかなかった。