愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「ちょっと、どういうこと!?」
私は家に帰るなり祐一の靴を見つけると、急いでリビングに走った。
「私、言ったよね?社内で噂になってるって。それなのになんで?なんでそんな真っ只中に来るような真似するの。」
私はソファに驚いた顔で座る祐一に、感情のまま詰め寄った。
すると慌てて立ち上がり、私を落ち着かせるように両肩に手を置いて言った。
「待って、詩音。落ち着いて。噂のことは確かに聞いたよ。」
「だったら....」
「でも、こっちも仕事だったんだ。社長命令で行くしかなくて、どうしようもなかったんだよ。」
彼はそう言うと、私をゆっくりとソファに座らせた。
「ごめん、詩音がそこまで困ってるなんて思ってなくて。」
私の肩を抱き寄せ、その手で頭を撫でながらそう言った。私は彼に体を預け、遠くを見つめながら言った。
「困るよ、働きづらいの。何するにも、高瀬グループの次期社長夫人だって目で見られて、やりづらい。上司にだって、変な気遣われて。」
「うん。」
「この間、お父様に言われたの。仕事を続けるなら、高瀬グループでって。今のところで働きづらくするのも、その作戦の内?そうだとしたら、少し怖い。」
私は、ボーッとしながら、放心気味にそう言った。