愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「あの、私、口説かれてます?」
車に戻りふざけてそう言うと、突然彼からキスをされた。
「うん。口説いてる。」
私をジッと見つめながら、ニコッと笑う彼。その大人な世界に、一瞬で心を奪われた。
そして次のデートで、私は祐一の恋人になった。全てが新鮮で、大人で優しくて、少し強引なところもあったけど、どんどん惹かれていった。
そして今、私たちは婚約している。実際、付き合ったあとで、あの高瀬グループの御曹司だと知らされた時には心底驚いた。それに、少し身構えた。そんなすごい人と、釣り合うとは思えなかったから。
でも、彼はそんな心配も全て包み込んでくれて、誰が見ても理想的の人だった。
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私はコーヒー片手にデスクに戻ると、紗和ちゃんが不思議そうに私を見た。
「蕪木さん、何ニヤニヤしてるんですか?」
そう指摘され、思わず顔を押さえる。
「いや?なんでもない。」
私は笑って誤魔化しながら、仕事にとりかかった。祐一と出会った時のことを思い出して、ニヤニヤしていたなんて、恥ずかしくて絶対に言えないから。