愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それでも、私は突き詰めなかった。気づいていないフリをした。もうすぐ結婚するし、彼を信じようと決めていたから。
私は、なんとか言いたい気持ちを押し殺して、話題を変えようと立ち上がった。
「ねえ、疲れてるのに申し訳ないんだけど。あとで落ち着いたら、来週の打ち合わせしてもいい?」
私はそう言いながらキッチンに向かい、麦茶をコップに注いで戻った。すると、ポカンとした顔でこちらを見る祐一。
「来週?」
そう言って、目を泳がせた。
私はまさかと思いながら、ソファに腰掛けて言った。
「来週の....、日曜日....。」
不安になり顔を覗き込むと、彼は必死に思い出そうと真剣になっていた。
「えっと....、ごめん。なんだっけ。」
そして考えた末、申し訳なさそうにそう言った。
私はその瞬間、自分の中の何かがぽっきりと折れてしまった気がした。きっとそれは、信じようと努力してきた私にとって、これだけは大丈夫だと思える支えのようなもの。
「両家の顔合わせ.....。」
私は愕然としながら、そう呟いた。