愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「.....おん、......詩音。」
いつの間にか眠りについていた私は、祐一の声で目を覚ました。
「もう1時だけど、お腹空かない?」
ベッドの端に座る彼が、そう言って私を見下ろす。私は目を擦りながら、ゆっくりと体を起こした。
「うん、空いた。」
そう答えると、彼は私の頭を撫で、微笑んだ。
「じゃあ、ちょっと外でない?」
私は、笑顔で言う彼に複雑な思いを抱きながら、コクリと頷き支度を始めた。
そして数十分後、行き先も分からないまま、私は彼の車に乗っていた。窓の外は、雲ひとつない青空。
「どこ行くの?」
私は、外の景色に目を向けながらそう言った。
すると、車はだんだんと細い道に入っていった。
「詩音の好きな場所かな。」
「私の??」
「そう。こんなことでお詫びになるか分からないけど、ここ好きだったなって思い出して。」
そう言って車が着いた先は、隠れ家的カフェ。祐一が初めてのデートで連れてきてくれた、思い出の場所だった。
「どう?好きじゃなかった?」
車を降りながら得意げに言う彼を見て、内心ずるいと思った。でも、ここのランチが美味しいのはたしか。私はコクリと頷いた。
すると、彼は満足そうに笑い、私の手を引いてお店の扉を開けた。