愛を孕む~御曹司の迸る激情~
数分後、お会計を終えて戻ってきた祐一。
「ごめん、おまたせー。」
「ううん。ご馳走様でした。」
そう言ってふと顔を上げた時、お店の中から真っ直ぐこちらを見ている例の女性と目が合った。その瞬間、にっこりと会釈をしてくる。
正直、少し嫌な感じがした。
でも、とても綺麗な人。見た目も仕草も、上品で女性らしくて美しい――百合の花みたいな人。
慌ててペコリと頭を下げ、祐一をちらりと見た。でも彼は、私と目も合わせずに早々に車を出す。私は、このモヤモヤした気持ちをどうにかしたくて、彼を見て言った。
「さっきの人、知り合い?」
そう言うと、ハンドルを持った手がぴくりと動き、明らかにおかしな反応だった。
「祐一のこと、祐って呼んでた。」
返答のない祐一に、少し緊張しながらそう言ってみる。すると、彼は観念したように息をはき、口を開いた。
「そこまで見てたなら、そっか......。わざわざ聞きたくないかなと思ってたんだけど。あれ、元カノ。」
その瞬間、ドクンと胸がざわついた。胸騒ぎはやはり的中していたらしい。あんなに綺麗な人が、元カノ.....
私は心の中でそう思いながら、どう言葉を返したらいいか分からずに黙り込んだ。
すると、祐一がまた続けた。
「大丈夫だよ、もう昔の話。それにあいつ、もう結婚してるから。子供もいる。」
私の不安を取り除くかのように、そう言った。