愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それから、ランチの時間を迎えると、今日は社員食堂の端っこで社食を食べていた。
「本当あり得ないです!!両家の顔合わせすっぽかすなんて、蕪木さんのお父さんとかカンカンじゃなかったですか?」
早速、これまでの経緯を話すと、紗和ちゃんはいつものことながら私以上にムキになった。
「ううん、うちは別に。それより忘れられてたことに、私の方がショックだったかな。」
目の前の彼女は、今にもテーブルを叩いて注目を集めてしまいそうな勢い。なるべく静かに話を終わらせようとしながら、空笑いを浮かべた。
そんな時、食事を食べながら、何やらいつもと違う違和感を感じる。
「ねえ。いつもより騒がしい気がするんだけど、なんかあったの?」
辺りを見渡し、ザワザワとした空気を不思議に思った。
「ああ、きっとあれじゃないですか?メールできてた。」
すると、まだ怒りおさまらぬといった表情のまま、ムッとした口調で答える紗和ちゃん。しかし、思い当たることがない私は、余計に訳が分からなくなった。
「なんのこと?」
「えっ、見てないですか?人事異動のメール。ロンドン支社から戻ってくる.....、なんて名前だったかな。なんでもその人が、凄いやり手らしいですよ?」
私はその瞬間、頭が真っ白になった。
「ねえ。その人の名前、思い出せる?」
私はバクバクと鼓動する心臓に手を当てながら、引きつった笑顔を見せた。