愛を孕む~御曹司の迸る激情~
支度を終え、サンダルを履くと、姿見の前に立った自分をジッと見つめた。
黒のオールインワンに白の薄いジャケットを手に持ち、いつものフェミニンスタイルからガラリと服装を変えた。私は大きなピアスを耳につけながら、少し後ろめたさを感じた。
だってこれから、成宮さんに会いにいくから。
すると突然扉が開き、思わず振り返った。
「おお、ビックリした。.......どっか行くの?そんなオシャレして。」
祐一がちょうど帰ってきて、私の服装をなめるように見て驚いていた。
「あー、うん。ちょうど今先輩に呼ばれちゃって。私、今日は外で食べてくるね。」
一瞬言葉につまりながらも、私は笑顔で誤魔化した。でも、嘘はついていない。言い方を変えて、肝心なことを言わなかっただけ。浮気をするわけじゃない。
だから、余計な心配はかけたくなかった。
「おっ、そっか。じゃあ俺は適当に済ませとくから、いってらっしゃい。」
彼はそう言って私にキスをすると、頭をポンポンと優しく撫でた。
「あんま遅くならないようにね。」
「うん、帰る時連絡する。」
扉を閉めると、胸を撫で下ろした。正直少しだけ、ヒヤヒヤしてしまった自分がいる。
心の中で祐一に謝りながら、私は例の場所に向かった。