愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「まじか。」
「あの、成宮さん......」
「いや、いいんだ。なんとなく分かってたから。」
苦笑いを浮かべ、グイッとお酒を飲む成宮さん。私はなんだか心が痛み、唇を噛んで俯いていた。
「あの、ごめんなさい。」
「謝らなくていいよ。それだって、俺に見せるためにつけてきたんでしょ。」
私はそう言われた瞬間、思わずハッとした。
顔を上げると、彼はカウンターの上にのせていた私の手元に視線を向けていて、少し気まずくなった。そっとカウンターの下に手を下ろし、無意識に左手の薬指を触った。
「気付いてたよ、最初にここ座った時から。」
「うん....。」
しかし、彼にそう言われ、またカウンターの上に手を戻した。
私の薬指には、婚約指輪が光っている。家を出る前、心を決めてつけてきたもの。まだ祐一の存在を伝えられていなかった私は、重い口を開き、とうとう彼に伝えた。
「私、結婚するんです。」
内心、何を言われるかとドキドキしながら、二人の間には沈黙が続いた。お互い、どちらが先に沈黙を破るかと、様子を伺いながら固まる。
そんな中、最初に声を出したのは成宮さんだった。
「おめでと。」
私は、その言葉でスッと気持ちが軽くなった気がした。