愛を孕む~御曹司の迸る激情~
しかし、成宮さんはそう言いながらも、グイッとグラスに残ったお酒を飲み干した。そしてまたもう一杯、同じものを頼む。ウイスキーのロック。
私は少し、気持ちが複雑になった。こんなにやけになって飲む成宮さんを、見たことがなかったから。
お酒が強いイメージだけど、乾杯してからももう4杯目に入る。それに、私が来る前から飲んでいたようだった。だんだんと早くなっていくペースに、少し心配になりながら彼を見た。
すると彼は普段と変わらない様子で、こちらを見て、私とバッチリ目があった。
「相手、どんな人?」
「......とっても、優しい人です。」
動揺し、目を逸らす。一瞬の間があいた後、突然私の頭にポンと手が乗り、クシャクシャと髪を撫でる彼。
「幸せになれ。」
言われた瞬間、なんだか凄く切なくなった。
お互い嫌いで別れたわけではなかったから。中途半端な状態で、お互いの気持ちが宙に浮いてしまっているような、そんな感覚。でも、3年の時は長かった。
私はニコッと微笑み、静かに頷いた。
もう、あの頃には戻れないから――