愛を孕む~御曹司の迸る激情~
それからも、私はひたすらにパソコンを打ち続け、時間も忘れて働いていた。成宮さんの声にも気づかず。
「かーぶーらーぎー!」
「はいっ?」
近くまで来てそんな大声を聞くまで、私の手は止まらなかった。驚いて顔を上げると、私のデスクの横で腰に手を当てて立っていた成宮さん。
「何回も呼んだんだけど?もうその辺にしとけ。」
呆れたように私のパソコンを閉じた。
「あー、あともうちょっとー....。」
そう言ってパソコンに手をかけると、そんな私の手をパシッと叩いた。そして成宮さんはデスクに寄りかかり、腕を組んでジッと見下ろしてきた。
「今日中にってお願いしてた資料はもう終わってるだろ。.....明日に回せるのは残して帰れ。とっくに終業時間過ぎてる。」
成宮さんの言葉でパッと時計を見ると、針は7時を回っていた。終業時間からは、1時間も過ぎている。
「それに、ずっと待ってるぞ。」
それから、成宮さんはドアの方を指差し、私は思わずハッと立ち上がった。そこには、紗和ちゃんが見えたから。
「待たせちゃかわいそうでしょ。朝も言ったろ?根つめすぎるなって。プライベートも大事。」
「......はい。」
私は彼と顔を見合わせ、はにかんだ。そして開いていた資料を全て閉じ、パソコンの電源を落とすと立ち上がる。
「お先に失礼します。」
「はい、お疲れっ。」