愛を孕む~御曹司の迸る激情~
「成宮さんと同じ会社選んだのは、それくらい好きだったから?」
今度はひな子にそう聞かれ、私は笑顔で首を振った。
「好きだったからって言うよりは、知りたかったからの方が正しいかも。」
就活中、広報や広告の仕事に絞って探していた私は、いくつもの会社から内定をもらっていた。その中には、なんとなく受けていた今の会社もあった。
正直、彼氏のいる会社だからって理由で決めるなんて、動機が不純だと分かっていた。第一、社内恋愛なんてやりずらいと思ってすらいた。
でも、その頃の成宮さんが仕事仕事の毎日で、私のことなんて二の次だったから。だから、彼と同じ会社にいて、彼の仕事を見られれば、少しは気持ちが理解できるんじゃないかとそう思った。
結局、動機は不純だったけど、それでも理解したかった。それが、同じ会社を選んだ理由。
私は何も言わずに聞いてくれるみんなに甘えて、一人で当時の思いをベラベラと話していた。
途中、そのことに気づき、思わずハッとする。
「あ、ごめん。喋りすぎた。」
「ううん。てか、良い理由じゃん。私なんかより全然ちゃんとしてるよ。」
とろんとした目で言うひな子は、おつまみをつまみながら笑ってそう言ってくれた。