愛を孕む~御曹司の迸る激情~
すると、なぜか不満そうにそう言う彼女。その瞬間、フワッと体が後ろにのけぞった。
「ほらほらほら、自分のことちゃーんと見てください!」
気づくと、紗和ちゃんと鏡越しに目が合い、ビクッとする私の肩を力強く掴んでいた。
「肌は綺麗だし、真っ白。髪は艶々のゆる巻き。顔小さいし、まつげは長くてぱっちり二重で、鼻も高い。スタイルいいし、足細いし、意外と胸もあります。あと〜.....」
そうして、つらつらと並べ立てられた言葉。だんだんと恥ずかしくなり、私は首を振って強制終了した。
「あーもー、そこまで!褒めたって何も出ない!」
「いや、本当のことですよ!てか、蕪木さんってチワワに似てますよね?」
そう言ってニコッと笑った。
そして、鼻歌を歌いながらトイレに入っていく彼女。私は相変わらずのマイペースさに困り果てながら、後ろ姿を見つめて微笑んだ。