愛を孕む~御曹司の迸る激情~
すると、ひな子はそんな紗和ちゃんの肩に腕を回した。
「分かる分かる。なんだろうね、この、女としての余裕?」
私は紗和ちゃんを励まそうとしたはず。なのに、話が可笑しな方向へと向いていた。
「それ分かります。絶対的勝ち組感。」
「ていうか、私の同期って何?なんでこんな美女二人に挟まれてんの?私。そう思わない?」
「えー、ひな子さんも可愛いですよー!」
「いや、そんなお世辞はいらん。目の前の顔を見よ。」
私と南は会話に置いてきぼりのまま。二人がどんどん先へ進んでしまうもので、もう何の話をしているのか分からなくなっていた。
「あー、もう今日は飲むぞー!!」
そして、最終的には開き直り、お酒がどんどん進んでいく。お猪口をもう一つもらい、紗和ちゃんの飲んでいた日本酒を一緒に飲み始めていた。
今日のひな子は、寝ないかわりにとにかくテンションが高い。須崎くんがいない代わりに、ロックオンされてしまった紗和ちゃん。かわいそうなくらいに絡まれていた。
明日も仕事があるからと、早めのお開きにはしたものの、ひな子がなかなか帰ろうとはせず。私も南もできるだけ巻き込まれないように、そんな様子を少し離れたところで見ていた。