愛を孕む~御曹司の迸る激情~
自分で言うのもなんだけど、高校の時から彼女には不自由していなくて、モテてきた人生。でも、蕪木に出会ってから何かが変わった。どんなに女子に誘われても、蕪木意外目に入らなくなっていた。
きっかけはあの時。成宮さんに捨てられた蕪木が、俺の前で気持ちをぶちまけて夜通し泣いていたあの日。
可愛いしタイプだったけど、その時は大学から付き合っていた彼女がいたし、特に下心なんてなかった。
ただ、成宮さんからよく話を聞いていて、異動した後に見た蕪木の様子があまりにも可哀想だったから、つい声をかけてしまったというだけで.....
俺は、兄貴の店の二階を借り二人で話をした。すると、彼女は突然泣き出し、最初は驚いた。でも苦しかったんだろうと思ったら、無下にもできず慰めた。
そんな泣いている蕪木をずっと見ていたら、思わずドキッとしてしまった。不謹慎なのは分かっていたけど、無邪気に子供のように泣く姿が、愛おしくて心を奪われた。
今まで浮気なんてするやつは最低だと思っていたけど、この時ばかりはどうしようもなかった。もはや、浮気というより本気になった。
抱きしめたくても、抱きしめられないもどかしさを感じながら、俺はただただ彼女の頭を撫でてやることしかできなかった。
あの日以来、俺は蕪木 詩音に恋をした。