私と後輩くん。
「…あの」
「ん?」
「さっき、俺は女子が好きそうな顔をしてるって言ったじゃないですか。
あれって莉乃さんも含まれます?」
「え?」
「莉乃さんも俺の顔、好きですか?」
「え、うん
ってか普通にイケメンだと思うよ?ってかこんなイケメンがうちの店でバイトって最初はちょっと驚いたもん。
え、私が教育係!?みたいなね。
あ、でも私は別に追い掛け回したりしないから。
かっこいいとは素直に思うけど、快は異性っていうか、後輩!って感じだもん。
だから私のことも不信とかならないでね」
「……いや、それはなりませんって」
「そう?ならよかった」
まぁ、信用されてるならそれでいいけどね。
こんなイケメンと接する機会、もう一生ないかもしれないなぁ、そう考えたら。
でもやっぱり快はもう可愛い可愛い私の後輩だなっ
同世代のバイトって、あの店いないから本当に貴重だしね。
こうやって、一緒にお昼を食べてるのも。
私には美優しかいなかったし。
「あの、莉乃さんてなんで東京から出たんですか?
教育学部ならいくらでも向こうに大学ありますよね?」
「んー。なんか人間関係が面倒で」
「え、それで?」
「うん。
東京ってスピード感すごくて。
流行りとかもどんどん変わっていって、それについていかないと時代遅れだのダサいだの言われるのね。
その流れについていくのに疲れたのと、そんなことに夢中になれない私にはちょっと辛くて。
で、親も大学に入ったら一人暮らしを経験したほうがいいとかいうし
まぁなんか、いろんな都合が重なって、ちょっと落ち着きたかったんだと思う」
「…じゃあ、卒業したら戻りますか?」
「んー、どうかな。
なんかこっち来た頃はちょっと憧れてた田舎とちょっと違って、そこまで田舎でもなくて人はそれなりにちゃんといるし、でもいろいろ不便だしって思ってたんだけど
こっちの人って本当にみんな優しくてさ
東京の人が冷たいってわけじゃないんだけど、なんか
…ちゃんと、私を見てくれてる、って感じがするんだよね」
流行がないわけでもないし
イケメン俳優とかももちろん好きだし
そういうのは全然変わらないんだけど
それでもなんかいろんなつながりを大事にしてると思った。
「この空気感がすごい居心地いいんだ。
なんか言葉にするの難しいですけど」