私と後輩くん。
「なんかそれ、ちょっと俺に似てません?」
「いや全く似てないから
私のはそんな重度じゃないから」
どう考えても、私のほうが軽い。
なんだかんだ言っても私はちゃんと友達だったし、東京は東京でいいとこだし。
ただ私があのスピード感あるとこについていけなかっただけだもん。
「……あの、ちょっと俺今困ったことになってて」
「え、なに?
私でよければ相談乗るし!」
「いやなんか話聞いてほしいだけなんですけど
…なんか、俺のファンクラブってものが存在してるらしくて」
「は?…ファンクラブ?
え、なにそれどういうこと」
「いや俺も理解に苦しんでるんですけど
なんかさっきいきなり俺の写真集出したいとか言われて」
「は!?
え、なんかちょっと怖い…」
「ですよね!?
俺別にそんなん頼んでねぇしとか思っちゃって
なんかちょっと気持ち悪いっていうか、怖いっていうか…
しかもそれ言ってるの、俺は初めて見る人たちばかりで、なんでそれなのに俺のこと知ってんのとか考えたら本当怖くなってきて」
「え、それで断ったの?」
「一応断ってるんですけど、話が全然通じてなくて。
めんどくさくなって、逃げてきたんです」
「あ、そういうことだったの!?
にしてもファンクラブ…
今日何回目だよって感じだけどイケメンって大変…」
「俺断ってんのに勝手に盛り上がり始めるし…
写真集だけじゃなくて、新聞的なのも発行するとか言ってて、なんかいろいろ質問されるし
なんか俺もうどうすればいいんだか…」
「ちなみにどんなこと聞かれたの?」
「まぁ普通に名前とか誕生日とか…
でも誕生日とか祝われたら厄介なんで、8月15日って言っときました。
そしたらお盆なんで絶対大学にもいかないし、もしなにか誘われても断りやすいと思って」
「おぉ!頭いい!」
「あとは鉄板ですけど彼女いるのかとか好きなタイプとか」
「あー、まぁそれみんな気になるところだもんね」
「まぁ全部適当に
おしとやかな彼女がいますって言っときました」
「あ、おしとやかなのが好きなの?」
「そういうわけじゃないですけど、とりあえずあなたたちとは全然タイプが違いますよアピールをしときたかったんです」
「あー、そういうことか」
まぁ、確かにおしとやかならそんなこと、普通しないもんな…
「彼女いたらいたで面倒だし、いなくても面倒だし、本当に女ってめんどくせぇ」
「あ、それが本性か」
「……まぁ、莉乃さんの前なんで」