[短編]砂糖彼氏と塩彼女
「いい」
「そっか、わかった」
一度だけ僕の家に行ったことはあるけど、それを言い出したのは僕だった。
内心かなり驚いているけど、紗羅のお願いを断るという選択肢はない。
「お待たせ致しました。カツカレーとグリーンカレーです」
目の前に置かれた美味しそうなカレーに集中して、ドキドキする心臓を誤魔化した。
*
「美味しかったね」
「うん、また来たい」
かなり気に入ったみたいだ。
それに次の約束ができて嬉しい。
「あ、そうだ。僕の家に行く前に、少し寄り道してもいい?」
「いいよ。わたし本屋にいてもいい?」
「うん。終わったら迎えに行くよ」