[短編]砂糖彼氏と塩彼女
渡したときの反応が楽しみで、今からニヤけてしまいそうだ。
本屋の前に行くと気づいたようで、小走りで駆け寄ってきてくれた。
「紗羅、おまたせ。なにか買うものはある?」
「ない。用事は?」
「済ませたよ。じゃあ、僕の家に行こうか」
「うん」
再び手を繋ぎ、ショッピングモールを出て駅に向かう。
ちょうど来た電車に乗り、僕の家の最寄駅を目指した。
「用事ってなに?」
興味津々な様子で見つめてくる彼女に、つい本音を言いそうになるけどそれでは意味がない。
「んー。内緒」
心の中で葛藤しながら、言いたい気持ちを抑えた。
「紗羅、降りるよ」
「うん」