[短編]砂糖彼氏と塩彼女
電車に乗り数分
僕の最寄駅で電車を降り、改札を出た。
「佐藤。お手洗い行ってきてもいい?」
ちょうど駅を出ようとした頃、彼女が聞いてきたので笑顔で「いいよ」と言った。
女子トイレの目の前で待つのもよくないと思ったので、少し離れた駅のベンチに座る。
「——あれ?佐藤くん?」
聞き覚えのある声と自分の名前に反応して顔を上げた。
「向井さん?」
声の主は中学で2、3年とクラスが同じだった向井さんだった。
「やっぱり佐藤くんだ!久しぶりだね!中3以来だから……もう1年半!佐藤くんは友達と来てるの?」
「彼女とだよ」
「そっかぁ。佐藤くんだもんね。いない方がおかしいよね」